昭和30年代、プレハブ住宅をバカにしていた工務店は、それと同様に機械プレカット加工の革命を大して気にしてはいなかったが、ここへ来て軸組みのプレカット率が右肩上がりに伸びていることに何か感じているのだろうか。
十数年前に手動のミニプレカットラインを導入して、その頃から100%機械プレカット刻みをしていた筆者も、現在のCAD/CAMによるプレカットの発達は、当時の予想をはるかに越えるものがある。
冒頭に述べた昭和30年代が家づくりの第1次革命期だとすれば、現在は第2次革命期と言える。品確法に始まり、シックハウス対策などに加え、工法の革新、資材流通システムの変革…などなど。我々工務店として如何に構造改革できるか、またどう変わるべきかを真剣に考える時である。
変わるべきものとしては、経営・技術・営業など全てを革新しなければならないが、いの一番に変えなくてはならないものは、トップである社長自身の意識革新である。
現在多くの工務店が取り組んでいる、工務店CALSを駆使しての経営と施工管理を一体化したIT化革命を進めることも重要だが、その前に、社長の意識改革こそ最重要課題である。
そこで、社長の意識をどう変えるのか、社長のすべき業務、社長の仕事とは何かを考えてみたい。
先日、ある生命保険会社の「社長に聞く」というアンケートを見たのだが、その中から2、3紹介したい。
まず、「社長は1日何時間働いているか」との問いに「10時間以上」と答えた社長が80%以上いたことに驚いた。このことは社長が本来やるべき社長の仕事以外の、部下がやるべき仕事の分野にまで手をつけているのだとしか考えられない。
また、「誰のために経営しているか」との問いには、創業時においては自分のためと答えた社長がほとんどであった。そのように答えた同じ社長に「では、現在は誰のためと思っていますか」と聞くと、全員と言ってよいほど「顧客のため、従業員のため」と答えている。
筆者も「自分のために」と思って創業したが、50年近く経営をしてみて「自分のために経営する」ではいくら頑張っても成功しないことが、ここに来てやっと悟ることができた。
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